20110209。
悩んだ結果、小咄を思いついてしまいました。
『宇宙人と私。』
仕事をなくした私の部屋の窓辺に、宇宙人がやってきた。
どうやら乗り物が壊れたらしい。
ソファーに寝そべり居心地がよさそうな宇宙人。
そのまま居座るようになった。
身体はゴムのようで、風呂に浸かればきれいになるらしい。
人形の服を着せてやると、少し地球人ぽくなった。
食事の時間には、食べ物をわけてやった。やわらかいものを好む。フルーツならイケるようだ。
テレビをつけたら、教育テレビの子供番組を興味深げに見ている。
カラフルだし、直感的に通じるのだろうか?
テレビに入っていこうとしたりして、なかなか面白い。
言葉はまだ通じない。
かろうじて怒るのと喜んでいるのがわかるくらいだ。
怒ると顔部分に力が入り赤味が増す。
喜ぶと内側の筋肉がゆるみ、ふにゃふにゃと揺れる。
やっと宇宙人との生活にも慣れてきた頃。
私に仕事の話が舞い込んだ。
問題は宇宙人をどうするかだ。
宇宙人を預かる施設はあるのだが、
最近NASAがシールドを解除したせいで、
宇宙人と暮らす人間が増えたらしい。
結果、どこの施設も満員なのだ。
ダメもとで近くの施設に電話をすると、
2軒目で、なんと空きがあるとのこと。
しかも施設の人は宇宙語が少し話せるのだという。
期限はもうすぐ。
私はどうしたいのか。
その前に宇宙人自身はどうしたいのか。
振り返ると
ふにゃふにゃと揺れる宇宙人がいた。
おしまい